今回紹介する本は、岸見一郎氏と古賀史健氏によるベストセラー『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』です。
2013年の発売以来、多くの人の価値観を変えてきた一冊で、「他人の目を気にせず、自分らしく生きる勇気」を与えてくれる内容となっています。
「どうしてあの人の言葉に振り回されてしまうのか？」
「もっと自由に、もっと自分らしく生きたい」
そんな悩みを抱える方に、アドラー心理学の考え方はきっと大きなヒントになります。
本記事では、『嫌われる勇気』の魅力を【自己受容】【人間関係】【生き方の選択】という3つの視点からわかりやすく解説します。
あなたの人生を変えるきっかけになるかもしれません。
「人間関係で悩みが尽きない
『嫌われる勇気』は、ただの自己啓発書ではなく、「自分の生き方に自信が持てない」「人間関係で悩みが尽きない」「本当に幸せな人生って何だろう」と感じているすべての人に、強くおすすめしたい一冊です。特に以下のような人には、心に深く刺さるはずです。
1. 他人の目が気になって自分を押し殺してしまう人
「嫌われたくない」「評価されたい」と思うあまり、言いたいことを我慢していたり、本当の自分を出せずに生きていませんか？
この本は、「他人にどう思われようと、自分の人生を選んでいい」という強烈なメッセージをくれます。承認欲求から自由になる勇気を持ちたい人には、ぴったりです。
2. 過去のトラウマや失敗に囚われて前に進めない人
アドラー心理学は「過去の原因」にこだわらず、「これからどう生きるか」を重視します。「過去がこうだったから、自分は変われない」と感じている人にとって、この本は人生を前向きに捉えるきっかけを与えてくれます。
3. 人間関係がうまくいかず、いつも悩んでしまう人
「職場の人とうまくいかない」「家族とわかりあえない」「友達に振り回されて疲れる」…
そんな悩みを持つ人にとって、本書の「課題の分離」という考え方は、目から鱗のヒントになるはずです。他人を変えることはできなくても、自分の行動と気持ちは自分で選べるという力強さをくれます。
4. 何のために働くのか、何のために生きるのか、わからなくなっている人
「毎日忙しくしてるけど、心が満たされない」「本当にやりたいことがわからない」…
そんな“モヤモヤ”を感じている人には、「人生の目的は他者貢献にある」というアドラーの思想が新鮮に響くでしょう。
誰かのために自分の力を使うことで、自分の存在価値を実感できる――このシンプルだけど深い真実が、人生の羅針盤になります。
5. 自分をもっと好きになりたい人
本書の根底にあるのは「あなたはそのままで価値がある」という自己受容の考え方です。完璧じゃなくていい、失敗してもいい、不器用でもいい。
今の自分をそのまま受け入れられたとき、人生は驚くほど自由になります。そんな自分になりたいと願うすべての人に、『嫌われる勇気』は大きなヒントを与えてくれます。
自己受容
『嫌われる勇気』の中心的なメッセージのひとつは、「人は過去に縛られることなく、今この瞬間から変われる」という考え方です。これはアドラー心理学の「目的論」に基づいています。過去のトラウマや環境を重視する「原因論」と異なり、目的論では「人は目的のために行動を選択している」と考えます。
例えば、「人付き合いが苦手なのは、過去にいじめられたからだ」と考えるのではなく、「人付き合いを避けるために過去を理由にしている」と捉えます。つまり、「できない」のではなく「しないことを選んでいる」とするのです。
この考えに基づいて、「今の自分を否定するのではなく受け入れること」が重要とされます。これが「自己受容」です。完璧でなくてよい。他人と比較するのではなく、「今の自分」をそのまま受け止める姿勢が、自分らしい人生を生きる第一歩とされています。
人間関係
本書の第二の柱は、人間関係に対する新しい視点です。アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と断言しています。それを解決する鍵が、「課題の分離」です。
課題の分離とは、「それは誰の課題か？」を見極めて、他人の課題に踏み込まないことです。たとえば、親が子どもに勉強をさせようとする場合、「勉強するかどうか」は子どもの課題です。親は「学べる環境」を整える責任はありますが、「学ぶかどうか」を決定するのは子どもです。他人の課題に踏み込むことは、相手の自由を奪うことにもなります。
また、多くの人が苦しんでいるのが「承認欲求」です。他人に嫌われたくない、認められたいという気持ちから、自分の言動をコントロールされてしまう。しかし、他人にどう思われるかは相手の課題であり、コントロールできるものではありません。
アドラー心理学では、他人にどう思われようと、自分の信じる道を歩むことが幸福につながると説いています。つまり「嫌われる勇気」とは、「他人にどう思われても自分らしく生きる勇気」なのです。
生き方の選択
本書では、「人生は他者貢献によって価値を見出す」とされています。アドラーは「共同体感覚（community feeling）」という概念を大切にしており、「自分が他者や社会に貢献できている」と実感することが幸福の鍵だと説いています。
しかし、これは「自己犠牲」ではありません。「自分のために」ではなく、「誰かのために」生きることが、結果的に自分の存在価値を感じさせてくれるという考え方です。
そして、「幸せとは、貢献感を得ること」と位置づけます。たとえば、仕事で成果を出したとき、人に感謝されたとき、自分の行動が誰かの役に立ったとき、人は生きている意味を実感します。
さらに、過去や未来ではなく「いま、ここ」を真剣に生きることが強調されます。未来の不安や過去の後悔にとらわれず、いまこの瞬間を精一杯生きる。その積み重ねが人生を豊かにするというメッセージが込められています。
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まとめ
『嫌われる勇気』は、哲人と青年の“対話形式”で進むため、読みやすく、それでいて深い哲学が自然と入ってきます。
一度読んだだけでは理解できない部分もあるかもしれませんが、読み返すたびに違う気づきを与えてくれる「人生の指南書」として、多くの人の心に寄り添う名著です。
