今回の記事では、チッタ・アルタからフニコラーレで向かうサン・ヴィジリオへの小旅行をご紹介します。
道中の景色や、城跡「トッレ・カステッロ・サン・ヴィジリオ」から見えるベルガモ全景のパノラマ、そして写真映えするベストタイムまで、実際に歩いたルートと一緒にお届け。
人混みから離れて静かな高台で過ごす、ベルガモのもうひとつの魅力を覗いてみませんか?
ベルガモ

ミラノのドゥオーモ前からカプチーノを片手に、ふと「ちょっと中世の街並みに浸りたいな」と思った朝。
そんな時におすすめなのが、ベルガモ(Bergamo)。ミラノから電車でわずか1時間ほどで行ける、石畳と赤い屋根が美しい丘の街です。
アクセス方法(ミラノから)
- 電車:ミラノ中央駅(Milano Centrale)からベルガモ駅(Bergamo)まで直通で約50〜60分。
TrenordやRegionaleの列車が頻発していて、朝から夜まで本数も多め。片道約6〜7ユーロとお手頃。 - バス:ミラノ・ランプニャーノ(Lampugnano)や空港から直通バスもあるけれど、鉄道旅のほうが風景も楽しめます。
- 豆知識:ベルガモ駅から旧市街(チッタ・アルタ)までは徒歩だと30分ほど坂道。体力温存したいなら、フニコラーレ(ケーブルカー)で一気に丘の上へ。
ベルガモの魅力
ベルガモは大きく分けて、近代的なチッタ・バッサ(下の街)と、中世の雰囲気が色濃く残るチッタ・アルタ(上の街)に分かれています。
石造りの城壁に囲まれたチッタ・アルタは、まるでタイムスリップしたような感覚。ユネスコ世界遺産にも登録されています。
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見どころ
- ヴェッキア広場(Piazza Vecchia)
カフェのテラス席から、のんびり広場を眺める時間が贅沢。噴水や市庁舎の建物が、歴史の厚みを感じさせます。 - サンタ・マリア・マッジョーレ教会(Basilica di Santa Maria Maggiore)
外観はシンプルなのに、中に入るとバロック装飾がぎっしり。黄金色の光に包まれる空間は圧巻。 - 城壁からの眺め
天気の良い日は、アルプスの山並みとロンバルディア平原が一望できます。夕暮れ時は特におすすめ。
Casa Mario Lupo – Apartments and Rooms

グルメ
ベルガモは北イタリアらしい、バターとチーズが香る料理が豊富。
- ポレンタ・タラーニャ(Polenta Taragna):そば粉入りポレンタにチーズを溶かした濃厚料理。
- カフェ&スイーツ:名物「ポレンティーナ」(黄色いマジパン菓子)もお土産に。
バチカン美術館+システィーナ礼拝堂 入場チケット ミケランジェロの傑作を鑑賞(バチカン)
ベルガモのチッタ・アルタ散歩記:石畳の迷宮に迷い込む
ミラノから電車で約1時間、ベルガモ駅に降り立ったら、まず目に入るのは丘の上に広がる城壁の街。
ここがベルガモのチッタ・アルタ(Città Alta)、中世そのままの雰囲気をまとった“高い街”です。
フニコラーレで空へ
駅前からバスで10分ほどでフニコラーレ乗り場へ。
小さなケーブルカーに乗り込むと、ギギギ…という音とともに傾斜を登っていきます。窓の外にはだんだん広がるロンバルディア平原。数分後、石造りの門をくぐれば、そこは別世界。
Piazza Vecchia(ヴェッキア広場)で一息
広場に出ると、カフェのテラス席がずらり。地元の人が朝のエスプレッソを楽しんでいて、観光地なのにどこか穏やか。
中央の白い噴水、周囲を囲む市庁舎や塔――すべてがフォトジェニックで、気づけばシャッターを切る手が止まりません。
歴史を抱く石造りの街
細い路地に入れば、石畳とアーチが続き、時折、チーズやパンの香りが漂ってきます。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会は外観は控えめですが、中は金色の装飾とフレスコ画がびっしり。しん…とした空間に足を踏み入れると、時間がゆっくり流れ始めます。
すぐ隣のコッレオーニ礼拝堂は、大理石のモザイク模様が華やかで、まるで宝石箱のよう。
城壁の上からの絶景
チッタ・アルタを囲むヴェネツィア時代の城壁は、ユネスコ世界遺産。
城壁の上からは、赤い屋根の家々と、その向こうに広がるアルプスの山々が一望できます。夕暮れ時、オレンジ色に染まる街を眺めながら、「ああ、ここに来てよかった」と思う瞬間。
お腹も満たして
夕方には、地元名物のポレンタ・タラーニャ(そば粉入りポレンタ)や、ベルガモ発祥のドルチェポレンティーナを。
小さなトラットリアでワインを片手に過ごす時間は、観光以上の贅沢です。
ベルガモ大聖堂:チッタ・アルタの静かな宝石

チッタ・アルタの石畳を、ぶらぶらと気の向くまま歩いていたとき。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会やコッレオーニ礼拝堂の華やかさに目を奪われていたら、ふとその横に、白く優雅なファサードを持つ教会がひっそりと立っていました。
それがベルガモ大聖堂(Cattedrale di Sant’Alessandro)。観光客でごった返す隣の礼拝堂と比べると、人影もまばらで、静かな空気が漂っています。
外観と第一印象
正面は18世紀に完成した新古典主義様式で、白い大理石が青空に映えます。
重厚さよりも、凛とした気品を感じるデザイン。入口の上にはベルガモの守護聖人・聖アレッサンドロの像が見下ろしていて、「ようこそ」と迎えられているような気持ちになります。
Relais San Vigilio al Castello

内部の美しさ
一歩中に入ると、外の喧騒がふっと消えます。
大理石の床は幾何学模様、天井には金色をあしらった装飾とフレスコ画が広がり、柔らかな光がステンドグラスから差し込む。
特に目を奪われるのは、ロレンツォ・ロットの作品をはじめとする宗教画や、きらめく祭壇の細工。大げさではなく、「静かに感動する」場所です。
知っておきたい豆知識
- 大聖堂はベルガモの守護聖人・聖アレッサンドロに捧げられている。
- 現在の建物は17〜18世紀に再建されたもので、元の教会は中世以前に遡る歴史を持つ。
- 隣には豪華なコッレオーニ礼拝堂があるため、観光の動線から外れやすく、穴場的存在。
個人的おすすめポイント 午後の遅い時間に訪れると、傾いた陽がステンドグラスを通って床に色とりどりの光を落とします。その光の中で静かに座っていると、時間がゆるやかに溶けていく感覚。
派手さよりも、“心を落ち着ける”ことに価値を置く人には、最高の場所です。

ヴェッキア広場:ベルガモ・アルタの“居間”で過ごす午後

チッタ・アルタのフニコラーレを降り、石造りの路地を数分歩くと、ふっと視界が開けます。
そこに現れるのが、ベルガモの心臓部――Piazza Vecchia(ヴェッキア広場)。
古い建物にぐるりと囲まれた空間は、まるで街全体の“居間”のようで、地元の人も旅人も、ここで足を止めてしまいます。
広場の中心にある白い噴水
真ん中には、18世紀にヴェネツィア共和国から贈られたコンタリーニの噴水。
ライオンの彫刻から水が流れ出し、子どもたちがその周りで遊んでいる様子は、絵はがきのよう。
カメラを構えると、背景には歴史的な建物がきれいに収まり、どこから撮っても映える不思議な場所です。

広場を囲む歴史建築
- パラッツォ・デッラ・ラジョーネ(Palazzo della Ragione):中世の市庁舎で、アーチの回廊が美しい。
- トッレ・チヴィカ(Torre Civica):高さ52メートルの鐘楼。夕方6時には今も大鐘が鳴り響き、街に時を告げます。
- ヌオーヴァ館(Palazzo Nuovo):真っ白なファサードが優雅な旧図書館。
カフェで過ごす贅沢な時間
広場沿いのカフェに腰を下ろし、カプチーノを注文。
カップから立ち上る香りと、石畳を踏みしめる人々の足音がBGM。観光地にいるはずなのに、なぜか時間がゆっくり流れます。
ここでの過ごし方は、ただ座って人間観察するのが正解かもしれません。
夜の顔もおすすめ
日没後、ライトアップされた建物がオレンジ色に浮かび上がります。
鐘楼のシルエットが夜空に映え、昼間とはまるで別世界。観光客が減って静まり返った広場での散歩は、少しロマンチックです。
カンパノーネ:ベルガモの空に響く鐘の音
ヴェッキア広場の真ん中で噴水を眺めていると、ふと見上げた先にそびえる、堂々たる石造りの塔。
それがカンパノーネ(Torre Civica)――高さおよそ52メートル、ベルガモ・アルタを見守り続けてきた街の時計塔です。
Golden Chic – Città Alta (Golden Chic – Citta Alta)

歴史と名前の由来
「カンパノーネ」という名前は、“大きな鐘”という意味。
かつては市民に時刻や集会を知らせるために鐘が鳴らされ、戦や火事など非常事態の際にもその音が街中に響き渡りました。
今でも毎日18時に100回鐘を鳴らす伝統が続いていて、夕暮れの街にその低く重い音が響く瞬間は、旅のハイライトのひとつ。
塔の上へ
エレベーターか、石の階段をひたすら上って展望台へ。
足元の石畳の路地、赤茶色の屋根、遠くに広がるロンバルディア平原、そしてアルプスの山並み――360度のパノラマが広がります。
風が心地よく、思わず深呼吸。街全体がまるで模型のように見え、ベルガモの全貌を一望できる貴重な場所です。
鐘の音に包まれる瞬間
運良く夕方の鐘の時間に展望台にいると、耳をつんざくような轟音が間近で響きます。
最初はびっくりしますが、やがてその音が体全体に染み込むような感覚に。
地元の人にとっては日常の音かもしれませんが、旅人にとっては忘れられない“街の声”です。
コッレオーニ礼拝堂:ベルガモの宝石箱
チッタ・アルタの石畳を歩いていると、サンタ・マリア・マッジョーレ教会の横に、ひときわ華やかな建物が目に入ります。
白とピンクの大理石を幾何学模様に組み合わせたファサード、繊細な彫刻、丸屋根――まるで宝飾品をそのまま建物にしたような存在感。
これがコッレオーニ礼拝堂(Cappella Colleoni)です。
建てられた理由
15世紀の傭兵隊長バルトロメオ・コッレオーニが、自らの墓と礼拝のために建てさせたもので、彼の権力と美意識が詰まった一大プロジェクト。
設計はジョヴァンニ・アントニオ・アマンティーノ(通称フィラレット)。教会と並んでいるのに中からは行き来できないという、ちょっと変わった構造です。
外観の美しさ
外壁は、白とピンクの大理石のモザイク模様と精巧な彫刻で覆われ、扉の上には聖人や天使の彫像がずらり。
正面から見上げると、その緻密さにため息が出るほど。晴れた日には大理石が太陽光を反射して、まるで建物自体が光っているようです。
内部の魅力
中に入ると、壁一面にフレスコ画や装飾が広がり、黄金色の光が柔らかく反射します。
中央にはコッレオーニの墓が堂々と置かれ、精緻な彫刻とともに彼の軍人としての威厳を物語っています。
天井を見上げれば、鮮やかな色彩の宗教画が空間を包み込み、思わず首が痛くなるまで見入ってしまうほど。
訪れるなら
- 時間帯:午前中は外壁にやわらかな光が当たり、写真映えします。
- 混雑:隣のサンタ・マリア・マッジョーレと合わせて訪れる人が多いので、開館直後か昼過ぎが比較的静か。
- 服装:教会同様、肩や膝を隠す服装がマナーです。
サン・ヴィジリオ城の塔から見る、ベルガモの360度パノラマ

チッタ・アルタの中心から、さらに高台を目指してフニコラーレに乗り込む。
わずか数分で着く終点が、サン・ヴィジリオ(San Vigilio)。そこから坂道を上っていくと、緑に包まれた城跡にたどり着きます。
その一角にそびえるのが、トッレ・カステッロ・サン・ヴィジリオ(Torre Castello San Vigilio)です。
歴史の残り香
この場所は中世から要塞として使われ、ヴェネツィア共和国の支配下ではベルガモ防衛の要でした。
いま残っているのは石造りの塔や城壁の一部ですが、その無骨さが逆に歴史の重みを感じさせます。
塔の足元に立つと、「ここから兵士たちが街を見守っていたんだな」と想像が膨らみます。

塔の上へ
階段を登って展望台に立つと――視界が一気に開けます。
眼下には赤茶色の屋根が連なるチッタ・アルタ、さらに遠くには平原とアルプスの山並み。
天気が良ければ、ミラノ方面まで見渡せることも。風が頬を撫で、街全体が手のひらに乗っているような感覚です。
おすすめの時間帯
- 朝:空気が澄んでいて、遠くの山々がくっきり見える。
- 夕方:夕陽に照らされたベルガモの街並みはオレンジ色に輝き、ロマンチックさ倍増。
- 夜:ライトアップされたチッタ・アルタと、遠くに瞬く街明かりが幻想的。
ちょっとした楽しみ方
サン・ヴィジリオ周辺には小さなカフェやベンチもあり、城跡の散策とセットでのんびり過ごせます。
観光客はチッタ・アルタで満足してしまうことが多いので、ここまで来ると人が少なく、静かな時間を楽しめるのも魅力。

まとめ
ベルガモのチッタ・アルタからさらに足を伸ばして訪れたサン・ヴィジリオの高台は、観光客の喧騒を離れた静かな別世界。
歴史を感じさせる城跡の石造りの塔から見下ろす赤茶色の屋根と広がるアルプスの景色は、まさに忘れられない絶景です。
朝の澄んだ空気、夕暮れのオレンジに染まる街並み、そして夜のライトアップ……どの時間帯もそれぞれ違った表情を見せてくれます。
ベルガモを訪れたら、ぜひチッタ・アルタの散策だけでなく、このサン・ヴィジリオの隠れた魅力も味わってみてください。